ドラマーのスタイルには色々なタイプがいます。パワーヒッターのようなスタイルの方もいれば、カミソリのような鋭いスタイル、やわらかな感じのスタイルとドラマーが100人いれば100通りの叩き方があります。それぞれに良いものを持っていますので、良いところを抜き出して練習することが一番です。
ハードロック系のドラムを目指している人の中にはどうやったらパワーが出るのか試行錯誤を繰り返したり、ジャズ系の人ではどうやったら小さい音で叩けるのか悩んでいたりする人も多いです。
私も実際、両方悩んだ経験が有りますので、私なりの解釈を述べてみたいと思います。それぞれに重要な事柄が沢山ありますので、ポイントとなる考え方を、大きい音の出し方と小さい音の出し方についてまとめています。
まず大きい音が欲しい時、身体のウエイトはもの凄く大事にあります。大きい体格の人は、大きい音は出しやすいといった傾向があります。ですので体重を太らせるというのも一つの解決方法です。
某手数王で知られるプロドラマーの方は、太い音を出すために、体重を取るかヴィジュアルを取るかで悩んだ末、結局ヴィジュアルを取ったそうです(笑)だからといって、氏のドラミングが線の細いドラムしか叩けないのかといったら、とんでもなく、繊細なプレイから大きいフレーズまで余裕でこなしています。
ウエイトは大きい音を出すための一つの要素でもあるのですが、そればかりではなく、他にも大きい音を出すためのテクニックがあります。それは『脱力と軌道』だと考えます。パワーヒッターと呼ばれるプロドラマー達はたしかに力は入れていますが、脱力した状態で、関節を上手く動かす軌道を練習によって癖づけています。
こういったことを見抜けずに、ただ単純に力任せで叩くと、フォームも崩れ、スピードも上がりません。『力』ですと、小さい子供や女性では難しく、そういったジャンルは叩けないことになりますが、子供だろうが女性だろうが、上手い人は世界中ゴロゴロしています。
一方、小さい音で叩きたい場合、脱力して叩くと、どうしてもある一定の音量が鳴ります。実際にジャズバーやジャズ喫茶などでプレイする場合は、お客がドラムの真横にいたり、1m先に座っていたりしますので、脱力した状態で叩くと、うるさ過ぎます。
またその音量は、ウッドベースやピアノの音をかき消す位の音量ですので、この『脱力』という状態は向いていないプレイスタイルになるのです。では一体どうすればよいかというと、小さい音を出すために『力』を入れるということを意識します。
なにやら矛盾めいたものに聞こえるかもしれませんが、小さい音はコントロール力が必要になり、それなりの力が要るのです。パワーという表現よりコントロール力と言った方がいいですね。
その昔、バンドボーイ(付き人)をやっていた頃、師匠がとあるジャズクラブで演奏する機会を見ていました。そのときのお客は、ドラムのすぐ横に座り、ドラムソロ最中に、こっくり、こっくり居眠りを始めたのです。
師匠のドラムソロは激しいのですが、うるさくなく、むしろリズミカルで心地よく、居眠りするのも良くわかるようなソロだったのです。
私は後日、そのソロをコピーし練習したのですが、いかに小さい音で激しくプレイする事が難しいか身をもって体験したのです。以上の体験談から、『大きい音を出すために脱力し、小さい音を出すために力を入れる』ということが分かったのです。
多くの人がどちらか一方を目指して取り組んでいると思います。しかし、この両者は同じくらい重要で、均等に訓練が必要になります。対極に位置するテクニックですが、この考え方は将来あなたのドラミングに多大な影響を与えますので、しっかり訓練を行ってくださいね!
【管理人川端のまとめ】
・ドラマーのスタイルには色々なタイプがおり、ドラマーが100人いれば100通りの叩き方がある。
・大きい音が欲しい時、身体のウエイトはもの凄く大事。
・ウエイト以外の大きい音を出すためのテクニックは、『脱力と軌道』
・パワーヒッターと呼ばれるプロドラマー達はたしかに力は入れているが、脱力した状態で、関節を上手く動かす軌道を練習によって癖づけている。
・ただ単純に力任せで叩くと、フォームも崩れ、スピードも上がらない。
・小さい音が欲しい場合、脱力という状態は向いていないプレイスタイル。
・小さい音はコントロール力が必要になり、それなりの力が要る。
・この両者は同じくらい重要で、均等に訓練が必要になる。
・いかに小さい音で激しくプレイする事が難しいかがわかる。
・対極に位置するテクニックだが、この考え方は将来あなたのドラミングに多大な影響を与える。