ドラマー中にはロックしか叩かないと
いう人もいれば、ジャズしか興味がないという人もいます。
ドラムが好きなのでドラムが入っている
楽曲は全てやりたいという方もいます。
それぞれで音楽を楽しんでいれば
それでいいと思うのですが、
お互いの気持ちが熱いせいか、たまに
衝突し合ったりする場合もあるようです。
それぞれに良さがあり、ドラムが
入っている楽曲として両方追求すれば、
音楽家としての幅が広がり、
人生を楽しめることができます。
このページではロックとジャズについて
私なりの考え方を述べます。
Contents
ジャズドラムとロックドラムは何が違う?
そもそもジャズドラムとロックドラムは
何が違うのかというと、
同じ4分音符や8分音符という楽譜上の
リズムは同じですが、
構成されてるリズムが違います。
ロックもジャズもリズムパターンから
身に付けていくという過程は同じですが、
習得時間に若干差が出てきます。
リズムを習得する初期段階では、
ロックドラムの方が幾分か早く習得できます。
それは簡単だという意味ではなく
8ビートや16ビートというリズムは
誰でも馴染みのある曲に使われていて
スムーズに習得が可能だからです。
現在のジャズをプレイしている人も、
数年ロック畑を経験した人が多く、
あるときを境にジャズに興味が出た人がほとんどでしょう。
もちろん、幼少の頃からジャズの音楽に
親しんできた人はその限りではありません。
戦前、戦後のジャズブームだった時代は
ドラムが花形でしたから
最初からジャズドラムだったという人も多かったのです。
かく言う私も、数年間ロックを経験し
フュージョン、ジャズというように好みが変化していきました。
私の場合はドラムが入っている楽曲は
全て演奏してやろうと言う気持ちが強く、
ジャンル的な好き嫌いはありません。
今でもジャズのビッグバンドを聴いたと
思えば、次の日はブラストビートを研究したりします。
ですので、『俺はロックだけ』、
『ジャズだけ』という気持ちはなく
『ドラマーとしての価値を上げたい!』
という気持ちでやっています。
そういったアプローチからそれぞれの
良さや難しさといったものまで体感しています。
ロック
ロックというジャンルは
いわば『様式美』を追求する音楽です。
つまりクラシックと同様、
同じキャンバスに計算された線や点を描き、
どんな環境でも同じ再現性を要求される音楽です。
ジャズ
一方、ジャズは、キャンバスは同じでも
中に描く絵はプレイヤーによって全く違うものになります。
ジャズ評論家の一言に
『ジャズに名曲はなく、名演あるのみ』
という言葉がありますが、まさに
ジャズというものを指している言葉です。
こういった性質の差から、
ロック好きの人、ジャズ好きの人に
分かれてくるのだと思うのです。
どちらも素晴らしく、一生をかけて追求していくべきものです。
二兎を追うものは一兎も得ず
『二兎を追うものは一兎も得ず』
という諺もあるように
性質の違う音楽は、同時に取得は難しいと思います。
私は両方取り組んでいますので、
少し矛盾を感じるかもしれませんが、
実際にはどちらかに絞った方がよいでしょう。
その昔、私のドラムの師匠に
『ロックでいくか、ジャズでいくか早く決めなさい』
と言われたことがあります。
そのときは、なぜそのようなことを
言うのかわからなかったのですが、
今となってはその理由はわかります。
一言でいうなら
『中途半端』になる恐れがあるということです。
たまに聞かれることがありますが
『ジャズの方がテクニックは上なので
ロックは余裕でしょう? 』
といった内容です。
これは全く本質を得ていない質問です。
各ジャンルのノリを追求するためには
果てしない時間と練習が必要になるからです。
演奏の面から考える
ジャズのセッションなどで、
ロックドラマーが参加した場合、
全く世界が変わる場合があります。
つまりはジャズにならない!ということです。
これは身体がロック用に
トレーニングした結果であり、
テクニック、ダイナミクスなどが全く違うのです。
逆も然りで、ジャズドラマーがロックを
演奏すると、妙におかしい感じがします。
一般的に、ジャズやフュージョンの方が
四肢の分離が多く応用範囲も多いので
ジャズやフュージョンの方が
身体能力を見た場合、格上の感じがしますが、
ロックの一発一発の音の感覚など
ジャズドラマーには叩けません。
こう言った点は
一流になればなるほどわかってきます。
海外の一流ミュージシャンですら、
ジャズを本格的にやろうと思うなら、
ジャズだけ、どっぷり1年間は浸かり練習しないとプレイできない!
言わしめるほど、
1つのジャンルを極めようとするなら
覚悟が必要になってくるのです。
いずれにせよ、ロックとかジャズという
垣根で考えるこはせず、
両方同じように追求しかないということです。
本質
私が生徒に良く言うことがあります。
『その曲を聴いて魂が震えるくらい、感動したことがありますか?』
ということです。
もしそれくらい感動したことがあるならば、
それがあなたにとって選ぶべきジャンルです。
ロックかもしれませんし、
ジャズかもしれません。
またはその両方かもしれません。