ジャズドラムのトレーニングを開始して、ある程度、手足が動くようになると、いよいよジャズセッションへの参加になります。ジャズスタンダードの数はもの凄く多いですが、その一つ一つをじっくり覚えていくしかありません。
ジャズの演奏ルールは簡単で、ある一定の構成を繰り返しています。例えば、ジャズドラムの入門として知られる『Autumn Leaves 枯葉』という曲は、AA’BCという構成になっています。A8小節、A’8小節、B8小節、C8小節の32小節の曲です。
この32小節のパターンを1コーラスいい、ジャズスタンダードの中では非常に多く演奏されます。ドラムはリズム楽器ですので、メロディーやコードを奏でることが出来ません。それ故に、リズムだけを刻んでいれば周りのプレイヤーが演奏してくれますから形になります。
これでは本当に意味でのアドリブは絶対出来ません。本来ならピアノや他のメロディ楽器を並行して練習する方法がベストなのですが、ドラムのトレーニングに追われ、その時間も集中力も無い方がほとんどだと思います。
このページでは、ドラマーに特化したジャズスタンダードの覚え方を解説していきたいと思いますので、これからジャズ・チューンをマスターしようと考えている人は是非参考になさってください。
では早速やってみたいと思います。下記の譜面を見てください。これは『Autumn Leaves 枯葉』のメロディー部分をスネアドラムのリズムで書いたものです。メロディが分からなければ、Youtubuに沢山ありますので、譜面を参考にしながら聞いて下さい。
譜面
①まず最初のトレーニングは、この譜面をそのまま歌いながらスネアドラムを叩きます。右手でも左手でも構いません。歌いながらということがポイントです。十分に声を出して歌ってください。何コーラスでも構いません。
②次のステップはグッとテンポを落とし、シングルストロークの32分音符を当てはめます。『Autumn Leaves 枯葉』のメロディー部分と右手がきちんと重なり合うことをチェックします。ここでは2コーラス分叩きます。
譜面
③今度はダブルストロークの32分音符を叩きます。同様に2コーラス歌いながら行います。
譜面
④今度はシングルパラディドルで32分音符を叩きます。同様に2コーラス歌いながらおこないます。
上記の最大の特徴は32分音符で叩くことで必然的にテンポが遅くなります。遅くなることと、32分音符を重ねることで正確に歌うことが要求されます。すこしでもあいまいな箇所があると、とたんに手と歌のリズムが合わなくなってしまうのです。
この練習はメロディーを覚えるのにも効果的ですが、シングルストローク、ダブルストローク、パラディドルのスピードアップにもかなり役立つものです。是非取り入れてください。
どうしても音階が取れない人は、パソコンを使うのも一つの手です。パソコンのDTMのソフトに覚えたいジャズスタンダードを打ちこんで、それを流しながら上記の3つの手順で練習してみてください。
しかし、最後は自分の歌を歌うことが出来て初めて実戦で活かすことが出来ますので、最後のチェックは歌えるかどうかを必ず行ってください。大丈夫ならば次のスタンダードナンバーを覚えていきましょう!
メロディーラインを自由に歌えるようになると、手足のコンビネーションと並行してどんどんフレーズが出てくるようになります。ほとんどの方がここで練習を終えてしまうのですが、実際にはもう一つ踏み込んだトレーニングが必要になります。
それは『歌詞』の意味を理解するということです。ジャズ・ヴォーカリスト以外の楽器のプレイヤー達はコードやリズムの分解などに時間を費やし、歌詞の意味まで勉強する人はほとんどいません。
これは曲の解釈からすると間違っています。例えばこういった歌詞があったとしましょう。『最愛の人を失くしてしまった。この先どうすればいいのかわかわない』こういった歌詞の場合、アレンジでテンポアップしたり、陽気なラテン風にしたりすることは絶対ありません。
しかし多くのミュージシャンのアレンジは歌詞を無視したアレンジを行います。これはジャズがアメリカ文化であり、歌詞が英文であるということを無視しているのです。もしあなたがスタンダードナンバーを覚えたいなら、メロディーと歌詞の意味まできちんと押さえてください。
しかし、中には英語が苦手であったり、抽象的な英文で訳せなかったりする場合もあります。そういった場合にお勧めの本がありますのでご紹介します。『ジャズ詩大全』という本です。
スタンダードナンバーの英語の歌詞を解説した本で、その歌の生まれた背景や作詞と作曲との関係、シンガーの歌い方や癖に至るまで解説してある本です。覚えたいジャズナンバーをこの本から理解するとぐっと力になります。是非参考になさってください。