私がドラムのトレーニングを始めた頃、
ひょんなことから出会ったドラマーがいました。
当時彼はトラックの運転手をしながら
演奏の仕事をやっている(実際にギャラを頂いている)
という2足の草鞋を履いているドラマーでした。
彼の練習方法は、もっぱらパッドと
メトロノームを使いやるものでした。
スタジオに入り本物のドラムを使い
練習するのは週一回あるかないかです。
私は当時は、練習は本物のドラムで
やるものと思っていたので、
その彼の練習スタイルが不思議で仕方ありませんでした。
このページでは、練習パッドと
本物のドラムとの効果の違いなど述べてみたいと思いまうす。
Contents
練習パッドとドラムセットの効果の違いは?
上手いドラマーたちを見ていると、
やはりパッドで練習している人が圧倒的に多く、
しかもドラムで練習している人達に
比べて音の粒、姿勢、タイム感全てにおいて優れていました。
私はしばらく冒頭の彼とトレーニングを
一緒にやるようになりその訳がだんだんと分かってきました。
トレーニングパッドの使用は、
ドラムセットを使う練習に比べて
格段に基礎の養成に優れているのです。
音の大きさ、粒立ちなどありとあらゆる
ことがチェック出来ますが、
ドラムセットの場合は、音が大きく、
スティックワークや、アクセントの有無の違いなど
音圧に負けて細かくチェックが出来ないのです。
さらにドラムセットで練習をやった
という満足感が大きくなります。
プロも練習パッドを重視している
後にプロドラマーの付き人を
やるようになったのですが、
その師匠からも
『ドラムを使うな!下手になる!練習パッドでやれ!』
と口を酸っぱく言われたものです。
ドラムセットを使えば本体だけでも
数十万、防音にするなら、ウン百万です。
一方、トレーニングパッドは
2,3万でそろえることが出来ます。
確かに良い楽器を使えば上手くなるというのは正解です。
しかし、それは
その楽器を最大に操れる基礎力が伴っている
ことが大前提なのです。
ルーディメンツや四肢の分離が
伴っていないにも関わらず
良いドラムを使っても、猫に小判、
豚に真珠という諺通りの結果になります。
音程が出る楽器、ピアノやサックス、
ギターなどは高い楽器が良いかもしれませんが、
ことドラムセットに関しては
最初の数年は本物のドラムはいりません。
良い練習パッドにこだわるべきです。
ドラムセットが無い環境は、実は最高なんです!
私の生徒の中にも数名、
自宅でドラムセットで練習出来る
恵まれた環境にいる人がいます。
しかし、その基礎力は練習パッドの人に
足元にもおよびません。
数年間の練習パッドでトレーニングした
指、手首、腕、足首の基礎力は相当凄いものになりますし、
その時点でドラムセットに移行して、
爆発的に伸びていきます。
もし、ドラムが叩けない、防音でないと
自分の環境に嘆いている人がいたなら、
それはドラマーとして最高の環境ということを言っておきます。
是非、練習パッドで勇気をもってトレーニングしてください。
練習パッドは用途別に選ぶ!
では、ここからテクニックごとに
どんな練習パッド私用すればよいか
書いてみたいと思います。
ラバータイプの特徴
ほとんどの練習パッドは程よい
反動が得られるのですが、
なかでもラバーのものは優れており
リバウンドやダブルストロークの習得には一択です。
ハードラバータイプの特徴
粒立ちをチェックするのに役立つ
パッドはハードラバータイプがオススメです。
ハードラバータイプは粒立ちが
明瞭にわかり、バランスを図るのにもってこいです。
本物のヘッドを利用したタイプの特徴
次に本物のヘッドを利用した
タイプの練習パッドは上記の2点に
比べて音量が大きくなります。
しかし本物のヘッドを使用しているため、
ブラシの練習にはもってこいです。
もちろん跳ね返りも、粒立ちもチェック
できますので音量がOKならこれもありです。
メッシュタイプの特徴
これは本物のドラムセットを
使用しますので、
自分の身体の距離感が
つかめやすいといった利点があります。
ご自宅にセットできる環境があれば
これでも構いませんが、
少し反動が利きすぎてしまうので、
上記3点の練習パッドがいいでしょう。
電子ドラムの活用
昨今は色々な電子ドラムが出ていますが、
これもどういう風に使っていくかで
選ぶ機種が違ってきます。
ハンドテクニックならこの機種、
四肢の分離ならこの機種、
ライブならこの機種という具合に
変わってきます。
最低限、ハイハットスタンドが使用できる
モデルにしましょう。